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shinoのときどき日記


2011年04月17日(Sun)

気になる本『WIKI GOVERNMENT』

Wiki関連の本で、気になる本があります。洋書で、Wiki Government: How Technology Can Make Government Better, Democracy Stronger, and Citizens More Powerful(Beth Simone Noveck)(2009/04発売)です。

Wikiそのものというよりは、Wiki的なオンラインコミュニケーション、人々の情報共有とそこから成果を生み出すことを探るような内容らしい。…らしい、というのは、わたしがまだ原文を読んでないので、概要と目次を訳してみての推測。この本、ちゃんと読んでみたいなぁ。邦訳が出るとうれしいのだけれど。あまりにも訳に自信がないのですが、書籍概要と目次だけ日本語にしてみました。もし誤りがあればご指摘ください。

この訳に登場する"Peer to Patent"は固有のプロジェクト名で、2007年から著者Beth Simone Noveckが推進した特許のレビューシステムで、オンライン上で様々な専門知を持つ専門家や市民が参加できるもののようです。米国のPeer To Patentは、既存のWikiエンジンではなくPeer to Patent用に開発されたエンジンを利用しているようです。サイトの使い方の動画を見ると、結構、ややこしい感じですが、特許などの専門の人が見るとわかりやすいのでしょうか。また、日本でもPeer to Patent Japan(P2PJ) コミュニティによる協働レビューというプロジェクトが動いているようですが、サイトを見ますとレビューはtwitterで行う予定のようです。

ですから、本書またPeer to Patentは純粋にWikiエンジンを利用した仕組みそのものを指しているわけではないようですが、具体的にPeer to Patentというプロジェクトの実践から、Wiki Governmentを見出したようです。ここで一体、何をWiki Governmentと呼んでいるのか、非常に興味深いです。

以下の私訳の原文は、 Wiki Government: How Technology Can Make Government Better, Democracy Stronger, and Citizens More Powerful
Beth Simone Noveck
Brookings Inst Pr
¥ 2,499

を見て下さい。

概要(私訳)

ウィキガバメントは、政府にイノベーションをいかにもたらすかを示しています。ネットワークの力でいかに政治制度を高める方法を説明することにおいて、デジタル世代のデモクラシーの根本的な考え方を直すことを提案しています。人民の人民による人民の協力関係に基づいた政府のことで、昔からの夢です。

今日、ウィキガバメントは、いかに技術がその夢を実現するかを示しています。この考え方に多くの示唆に富むこの本の中で、ベス・シモーネ・ノヴェックは多くの人の力を少数の人の業(わざ)に結びつけて、公共のデモクラシーを強化する例を示しています。同様に重要なのは、彼女が提示する、コラボレーティブ・デモクラシーの段階的なデモンストレーション設計ができることと、より多くの人に参加してもらって政策を徐々に設計できる方法を示唆しています。

"ウィキガバメント"は、近年で最も劇的な公共部門の技術革新の背後に参与する物語で、例えば、特許審査のプロセスに市民をまきこみ参加させます。特許審査官は通常、秘密に、本質的な情報から切り離されて、技術的要求を習得して時間に束縛されずに業を進めます。Peer to Patentプロジェクトは、インターネットアクセス権を持つ誰もが特許出願を審査する機関で協力できるようにすることによって、根本的にこのプロセスを変えました。

"ウィキガバメント"は、技術者、弁護士、政策立案者の広範囲に及ぶチームが伝統に縛られた人々の扉を開いてどのようにのぞき込めるかを述べています。ノヴェックは、激しい競争にある企業と、机上のリスクを嫌う官僚、両方にどのように協力できるかを説明しています。ソフトウェアを作り出すチームはオンラインコラボレーションを通して、暴言や盲目的な褒め言葉ではなく、有用な専門知識を取り込む設計に挑戦していることを論じます。

そして彼女は、法律、政策、技術、教育、環境などの政策分野より広い範囲で、よりオープンな参加型の方法で政府の仕事を助けることができるような方法について説明します。

*1

著者略歴(私訳)

ベス・シモーネ・ノヴェックは法律専門家、ニューヨーク大学ロースクール情報法政策研究所の所長教授、スタンフォード大学マクラッチー准客員教授。彼女は米国で開始されたコミュニティ特許ReviewA パイロットプロジェクトの原動力となった。Peer-to-Patentは、2007年に商標庁、英国と日本で同様のプロジェクトにインスピレーションを与えてきた。

目次(私訳)

目次
はじめにxi
謝辞 xvii

パート1
コラボレーティブ・デモクラシーと専門知識の性質の変化

チャプター1
Peer to Patent:ささやかな提案 p.3
ささやかな提案を発進する p.7
未来への影響:ウィキペディアからウィキ法へ p.12
核となるアイディア p.15
本書概要 p.21

チャプター2
障害の唯一のポイント p.25
意志決定のクローズドなモデル p.25
ネットワーク世代の民主主義的参加理論 p.35
コラボレーティブ・デモクラシーの挑戦 p.40

パート2
Peer to Patentと特許の挑戦

チャプター3
特許とその情報不足
何故、特許か p.47
特許審査の課題 p.49
今日の特許審査 p.51
結果:後ろ向きに走る蟹 p.64
危機に瀕しているのは何か? p.67

チャプター4
コラボレーティブ・デモクラシーのためのデザイン

視覚的な審議 p.70
Peer to Patentの働き方 p.71
働きをグループ自身に反映して戻る p.80
粒度、グループ、そして評判 p.82
ボード上でみんなを捉えよ p.90
デザインプロセス p.95
初期の結果 p.99

パート3
Wikiで考える

チャプター5
情報のソーシャルライフ(社会生活)p.107
透明性を越えて p.108
クラウドソーシングを越えて p.110
専門家や専門知識を共にもたらす p.117
空間、場所、グループ、そして情報 p.118
情報リンクとアクション p.120
情報の透明性 p.121
コラボレーションに向けて構築する p.126

チャプター6
市民参加の歴史 p.128
パブリック・コンサルテーションの障害 p.129
政府の情報アクセス p.133
インターネット世代の参加型実践 p.138
替わりを想像する:われわれの参加方法をつつく p.142

チャプター7
コラボレーション・デモクラシーへの市民参加 p.146
Peer to Patentを越えて:コンサルテーションのために p.148
注意とコメントを越えて p.154
イノベーションのための組織 p.161
ネットワークのCTO p.165
コラボレーティブ・ガバナンス(政府) iLabs p.166

チャプター8
教訓 p.170
適切な質問をする p.172
適切な人々に尋ねる p.174
望み通りの終わりのためのデザインプロセス p.175
個人ではなく、グループのためのデザイン p.178
グループ自体に戻るために画面を使う p.179
役割とタスクに作業を分割する p.179
評判の力 p.180
ポリシーを作る(ウェブサイトではなく) p.181
新しいアイディアの水先案内人 p.182
インプットではなく、成果に焦点を p.183
大きな画像:ガバナンス(政府)の再設計 p.184
東海岸のコードと西海岸のコード p.185
パワーとコラボレーティブ・デモクラシー p.189

脚注 p.191
索引 p.219
Tags: 読書 wiki

*1 2011/04/18 修正をしました。


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